本書は、19世紀を代表する数学者の一人F. クラインが、正20面体に内在する数学的構造を体系的に解説したものである.原題 『Vorlesungen ber das Ikosaeder und die Auflsung der Gleichungen vomfnften Grade』 1884年にB.G. Teubnerから初版が出版されて以来、100年以上にわたって読みつがれてきた名著である.
第I部では、正多面体群の不変式を幾何学的性質と結びつけて構成する.これからクライン特異点が導かれる.ここで論じられたことは、1970年代のグロタンディクとブリースコルンの結果(単純リー環のベキ零多様体の特異点からクライン特異点を導いた)をはじめ、様々な方向へ発展している.
第II部では、第I部での「正20面体方程式」の成果を5次方程式の解法に応用している.アーベルとガロアの成果を発展させた第II部は、クラインが大きな力を注いだところである.
本書は数学史的な価値が高いばかりではなく、現代数学の根底にあるアイデアを習得するのにも最適である.さらに、本書で展開される複雑な数式は、コンピュータの・・・
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