現在主流のフラットマスタリング方式の模様で情報量重視の感がございますが、非常に良心的な音質でございます(但し、オーディオ機器によりけりでございますが......................)。
但し、制作時に生じたノイズ等の処理が成されている感があり幾分リミックス感がございます...........................
内容は言わずもがな。
ラインナップは名手揃い、Tony Iommi(G)、故Geoff Nicholls(Key、ex-Quartz)、
Glenn Hughes(Vo ex- Trapeze、Deep Purple、Hughes/Thrall、”Phenomena”:Project、Gary Mooreセッション、後にBlack Country Communion)、
Eric Singer(Ds、後にGary Mooreツアーサポート、Badlands、Alice Cooper、Kiss他)、Dave Spitz(B)となります。
ゲストにGordon Copley(B、一曲のみ)となります。
またボーナスCDではGlen Hughesに代わり、かの故Ray Gillan(Vo、後にPhenomena:Project、Blue Murder、Badlands他)参加となります。
プロデュースはかのJeff Glixman(Kansas、Gary Moore等手掛ける)となります。
1985年米国カリフォルニア州ロサンゼルス”Cherokee Studios”、ジョージア州アトランタ”Cheshire Sound Studios”での制作となります。
話題作”Born Again”は大好評となったもののDeep Purple再結成の為、Ian Gillan脱退。その後オリジナル・ドラマーBill Wardが復帰。
新ヴォーカリストに迎えたDavid Donato(後にWhite Tiger)、プロデュースにかのBob Ezrinを迎えバンドの立て直しと新作制作に臨むも、Bill Wardがバンド運営や新ヴォーカリストに異を唱え、あっけなく離脱。
またGeezer Butlerも自己の新バンド結成に動き、離脱。
Tony Iommiはバンド活動休止を決め、故Geoff Nichollsと共にソロ作制作へと活動を移行する事となります。
その後かの”Live Aid”にてBlack Sabbathオリジナル期再結成が為され話題を呼ぶものの、ライヴ企画のみで当人たち曰く「マジックに欠ける」と期待された新作制作は不問に。
セッション界隈から名手Eric Singer(後にGary Mooreサポート、Badlands、Alice Cooper、Kiss他)/Dave Spitz、更にはヴォーカリストとしてかのGlenn Hughesを起用し本格的に制作開始。
(故Ronnie James Dio等様々なヴォーカリスト起用を狙ったものの企画倒れに終わり、参加が決定していたGlenn Hughesに一本化した模様)
ソロ作は完成を見るものの、レコード会社やマネージメントは「Black Sabbathとしての新作」としてリリースを要望。
摺った揉んだの末、結局”Featuring Tony Iommi”を加えた名義にてリリース.........................という非常に面倒な経緯がございます..........................
さて今作。
名手Geezer Butler離脱があり、リズム面でオリジナル期Black Sabbathの呪縛から解き放たれた事やそもそもがソロ作としての制作で完成をみた事がミソでございます。
かの大傑作”Heaven and Hell”と似たメロディ重視の感がございますが、Iommi/Nicholls主導というもの。
故Geoff Nichollsのキーボードが重視された感があり、よりメロディ重視と言う感がございます。
またソロ作という事があり、Black Sabbathを意識しない創作の自由を得た事で八十年代を意識した音楽性に挑戦したという感。
八十年代特有の洗練された感覚やメロディアス感、コンパクト感を持つもの。
また名手Geezer Butler在籍時Black Sabbathでは案外扱い辛い感のあるメロディアス/ポピュラー感強い楽曲も有り、非常に興味深いものがございます。
また、同じ”Blues”育ちという事もありかの名手故Stevie Ray Vaughanを意識した感のある楽曲も存在。
”White Blues~紛いものBlues”系でメロディ重視という事が非常に興味深いもの。
英国ミュージシャンによる米国ルーツ音楽の曲解や拡大解釈からロック音楽の発展・変貌が始まった事を再認識させる感がございます。
ヴォーカルが名手Glenn Hughesでございます。
Tony Iommiが活動を共にしたヴォ―カリストの中では技巧派で非常に幅広いスタイルを持つという事から、今作の音楽性が実現した感がございますが、
ここでの成果が後の名手Tony Martin起用に繋がる感がございます。
(名手Tony Martinは故Ronnie James Dio系統のヴォーカリストではございますが、「ワン・スタイル・シンガー」の感が強い故Ronnie James Dioに比べ、ポピュラー系も含めた音楽的応用力が備わったスタイル。
案外幅広い楽曲が歌えるヴォーカリストではございますが(とりわけBlack Sabbath在籍時は)故Ronnie James Dioを意識し過ぎる面があり、そこが玉に瑕という感が................)
当時のややこしい悪名高いマネージメントが絡む事もあるのでしょうか?「付け加え扱い」とはなっておりますが、Glenn Hughesが作詞・ヴォーカルアレンジにて創作貢献しております。
故Geoff Nichollsも絡んでおり(Black Sabbathのコーラス要員ではございますが........)非常に興味深いものがございますが、Glenn Hughesも積極的な貢献をした感がございます。
(実際はかなりの貢献の感があり、当時のBlack Sabbathマネージメントのややこしいビジネス問題から直接金銭面でのやり取りで解決した感がございますが.......)
但し、特定のスタイルの音楽性に合わせた、という感があり(Glenn Hughesの音楽的本音ではございませんが)不遇と言われた八十年代のGlenn Hughesの活動の中ではベストの一つの出来となっております。
(後に加入する名手Tony Martinが今作を称賛している模様でございますが................)
ソロ制作なれど、やはり名手Tony Iommi。
Black Sabbathの音楽性の重要な面を担っていた人物という事があり、英国トラッド等のもの悲しげなメロディを基にヘヴィなリフを構築する面は同じ。
されどBlack Sabbathという音楽的呪縛やGeezer Butlerというリズム面の制約が課されない事から、メロディ面での自由さが感じられるものでございます。
当時は駆け出しの感がある名手Eric Singer/Dave Spitzではございますが、ここでメジャー指向の制作を行うというもの。音楽的野心が感じられる演奏でもございます。
Eric Singerは後のスタイルに比べシンプルの感がございますが、後の飛躍が窺える感があり、非常に興味深いものがございます。
但し、Jeff Glixmanは指弾きベーシストを嫌う傾向にあり(Gary Mooreの制作でNeil Murrayと揉めた話が........)数が少ない名手Dave Spitzの名演とは言え音量が低いきらいがあり、そこが玉に瑕、でございます.....................
(シングル・カットされた”No Stranger to Love”のみ別ベーシスト起用がそれを窺わせるものでございます................)
摺った揉んだの末のリリース後にツアーに勤しむものの、極初期でGlenn Hughesが離脱。
後任にDave Spitz関連の名手故Ray Gillan(後に”Phenomena”Project、Badlands他)を迎え、ツアーを敢行する事となります。
セールス/チャートアクションは不振となるものの北欧系ヨーロッパ圏や日本では好評を以て迎えられる事となり、これらの経緯から”Tony Iommi主導のBlack Sabbath”が継続する事となります。
そもそもがTony Iommiのソロ作であった”The Seventh Star”の音楽性を礎に、後に名作と呼ばれた”The Eternal Idol””Headless Cross””Tyr”とBlack Sabbathの制作・活動が進められて行きますが、
英国での評価を挟んで、米国そして北欧系ヨーロッパ圏/日本という評価の非常な隔たりが露見する事となっていきます..................
本編にはシングルリリース用の”No Stranger to Love”リミックスが収められておりますが、Glenn Hughesのパートが加えられているもの。
Glenn Hughes主観という感があり、非常に興味深いものがございます............................
さて、ボーナスCD。
1986年6月2日英国・ロンドン”Hammersmith Odeon”での実況録音からの抜粋となります。
音響調整卓通しでカセット録音によるサウンドボード録音となりますが、海賊盤起こしでノイズ処理等を行った感のある録音でございます。
この手の類としては非常に良心的な音質となります。
何せ名手揃い。
演奏・アンサンブルは非常に纏まりを見せるものでございますが、何せ駆け出しの若手ミュージシャン三名を含むもの。
メジャー分野に浮上という事があり、野心が窺えるものでございます。
新生Black Sabbathの評価は賛否両論に分かれましたが、若々しさある演奏・アンサンブルは非常に興味深いものがございます。
曲数が少ない事が悔やまれるもの。
正直、公式に機材車やオープンリール辺りで録音して頂きたかった感がございます...............................
当時米国でラジオ放送された米国ツアーでの(セットリスト違い)公式収録音源が確認されておりますが、演奏・アンサンブルの纏まりから見ると今作収録音源が明らかに上。
それに故Ray Gillan在籍時Black Sabbathのライヴ含めた音源は非常に少ないもの。また故Ray Gillan自身の公式録音は非常に限られたもの。
非常に貴重な音源ではございます......................公式発掘を御願いしたいものでございます...........................
現在は入手困難の模様。この機会に是非。
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