『Feels』はサイケデリア、フォークロック、プログレッシヴ・ロック、ジャズ、モダン・クラシックと循環する主題を、大胆に集めた大コレクションだ。とりわけ、このアルバムはまとまりがあり、明確だ。この音楽は軽やかに広まり、脈打ち、野心的で一風変わっており、ジョージ・ハリソン、ブライアン・ウィルソン、モータウンの性質が強調されている。だが、アニマル・コレクティヴはそうした音楽の模倣ではなくて、そこに含まれ要素のほうに、より深くインスパイアされているようだ。ビーチ・ボーイズの『Pet Sounds』に通じる部分がありそうな弾けるドラムは、ダイナミックでわくわくさせる「Grass」、「Flesh Canoe」で大いに響いているし、ジョージ・ハリスン『All Things Must Pass』のページから切りとったようなギターが鳴っている。おそらく、和むラブソング中で最大にかわいらしい曲は「Purple Bottle」だ。ひとつではなく三つのクレッシェンドのあるリラックスした転調のさざ波だ。エイヴィー・テア率いるアニマル・コレクティヴはリスナーを優しく引き入れることもできるが、やすやすと歯を剥き出すこともできる。美しく淡い「Bees」のような曲でも、錆びついたオートハープ、調和の取れた歌声がゆったりと響く部分、旺盛でドリーミーなシンセに戦慄が混ざっている。「Daffy Duck」では、90年代後半のエイフェックス・ツインの雰囲気に挑戦している。ただし、メタリックなクロームの冷たさはなく、心をあからさまにして切望する共感を抱かせる。『Feels』はロック・ミュージシャンは時間をかけて完璧なアルバムを作ることができ、完璧なアルバムを作ることができるという信仰を復活させてくれる。大胆で斬新で深い意味を込めて――本質的に異なるシングルを集めてアルバムとして売る現在の流行とは、まったく違ったアルバムだ。