この度は当オークションをご覧頂きまして、誠に有り難う御座います。
どうか、長文にはなりますが、
最後まで文章に目を通して頂いた上で御検討賜りたく存知ますので、何卒一つ、宜しくお願いを申し上げます。
こちらのポルシェ928S4の純正マニュアル車は、私の再従兄弟が新車から乗っていた物で、それが諸事情により約20年間の間おもてに雨ざらしのまま放置されておりました。
最後に動いていたのは平成12年頃であったと思われ、それから現代に至るまで放置されたままとなっており、青ゴケは生え、深い草むらに、ほぼ土と同化してしまっている様な、それはそれは酷い状態でありました。
この車両を含めまして、他に2台、計3台の同じような状態の再従兄弟のポルシェを、私がお世話になっております方がまとめて購入して下さいまして、一先ず動かすところまでに仕上げ、とりあえず車検が取れるところまでにしてあるだけの物です。
他のポルシェを同時進行でセミレストアに着手していた事もあり、また、地方のロケーションであった事もあって、専門的なショップでの作業が難しく、やや突貫工事的に仕上がっている為、写真で見る限り綺麗に見えても、決してお世辞にも「良い状態」とは言えません。
5点満点で点数を付けるのであれば2〜2.5点かそれ以下と言った状態です。
付け加えると、この車両は元々の新車がリース会社所有者名義で使用者が再従兄弟名義、それをリースアップして再従兄弟の所有物になった経緯があり、実質的に乗っていたのは私の再従兄弟のみでしたが、これを名義変更をする際に行政書士の先生を雇い、そもそもそのリース会社が存在しているかの調査から始まり、やっとの事で名義変更に漕ぎ着けたこともあって、大変な苦労とお金が掛かってしまった車体なのです。
さらには、PCM(車載コンピューター)やリレーの回路やMAFの状況も良い状態では無かったので、黒煙を吹き4000rpmから上が吹けなかったものをPCMオーバーホールに出したり、ガソリンタンクの古いガソリンを抜いて綺麗にしたり、ミッションベアリングからの異音を降ろして修理したりと見た目以上にお金が掛かってしまい、その割には仕上がりも納得の行くものでも無く、これらのやり取りに精神的にも肉体的にも疲弊しきってしまった様な状況となり、泣く泣く売りに出すことと致しました次第です。
当初、内装を剥ぎ取って軽量化し、モモステアリングやフルバケットやロールケージを挿入して、アイドラーズ等の耐久レースやスプリントレースのポルシェクラスに出場させる事も目論んでおりましたが、なにぶん「928S4のマニュアル車」という個体自体が既に「世界的にも非常に希少で高額」となっており、おまけに「ミツワ物」である事もあって、それはそれで「勿体無い」という事で決めかねている部分もございまして、ズルズルと時間が経過してしまったという側面もございました。
それに加え、この個体には謎めいた部分が多く、本来の純正はディッシュホイールが標準の筈が当初から純正カップホイールが備わっていただけに留まらず、本来の928S4であれば、リアバンパーのPORSCHEのEのエンボス加工部下に『S4』の打刻がある筈なのですが、それらの打刻は一切無く、またこの1987年初期ロッドのマニュアル車には「GTカム」と呼ばれている、のちの「928GT」で正式採用されたカムシャフトプロフィールが当初から採用されており、928S4のAT車の公称320ps・車重1600kgではなく、MT車は「330ps・1540kg」のスペックであると言われている文献もあり、非常に不思議な、秘められた魅力を持ち合わせている点も、中々手放せなかった理由の一つとなっておりました。
なんとマニュアル車にも関わらず、効くかどうかは試していないので分かりませんがクルーズコントロールレバーまでついており、速度違反防止に一役買いそうでもあるのです。
これらは当時の同年型ポルシェ930ターボをも常に脅かす存在で、
(1987年 ポルシェ911ターボ 930型)
- エンジン型式: 空冷水平対向6気筒SOHCターボ
- 排気量: 3,299cc(3.3リッター)
- 過給機: シングルターボチャージャー
- 最高出力: 300馬力(221kW)/ 5,500rpm
- 最大トルク: 430Nm(43.8kgm)/ 4,000rpm
- 0-100km/h加速: 約5.0秒
- 最高速度: 約260km/h
- トランスミッション: 4速マニュアル(G50型5速は911 NAモデルに搭載)
- 駆動方式: RR(リアエンジン・リアドライブ)
- サスペンション(前): トーションバー+ストラット
- サスペンション(後): トーションバー+トレーリングアーム
- ブレーキ: ベンチレーテッドディスクブレーキ(前後とも)
- 全長: 約4,290mm
- 全幅: 約1,775mm
- 全高: 約1,320mm
- ホイールベース: 2,272mm
- 車両重量: 約1,300kg
のスペックに対し、928S4 MT車(GTカム)のスペックは、
(1987年 ポルシェ928S4 マニュアルトランスミッション)
- エンジン型式: 水冷V型8気筒DOHC
- 排気量: 4,957cc(5.0リッター)
- 最高出力: 330馬力(243kW)/ 6,200rpm
- 最大トルク: 430Nm(43.8kgm)/ 3,000rpm
- 0-100km/h加速: 約5.5秒
- 最高速度: 約275km/h
- トランスミッション: 5速マニュアル
- 駆動方式: FR(フロントエンジン・リアドライブ)
- サスペンション(前): ダブルウィッシュボーン式
- サスペンション(後): マルチリンク式
- ブレーキ: ベンチレーテッドディスクブレーキ(前後とも)
- 全長: 約4,520mm
- 全幅: 約1,890mm
- 全高: 約1,285mm
- ホイールベース: 2,500mm
- 車両重量: 約1,540kg
と、0〜100km/hでは0.5秒劣るものの、最高速では15km/hのイニシアチブを握る点がまた魅力的であり、サスペンション形状から見るコーナリング特性含めて、近年強烈な値上がりを見せている同年型930シリーズの、同じくNAエンジンのカレラ等では到底刃が立たないであろうスペックを有しているのも、販売を躊躇していた理由の1つでした。
但し、現状と致しましては、一先ずはエンジンが掛かり、普通に転がす事は出来、私も約150kmの距離を自走で、かろうじて引き上げてこれた様な状態です。
高速道路の制限速度目一杯+α(メーター読み)までの速度、タコメーターではレッドゾーン迄キッチリ回し、リアのナンバープレートが吹き飛んでしまう程の想像を遥かに上回る速さであった事には非常に驚き「腐ってもポルシェとはこういう事か」と変に納得させられましたが、決して真似してはいけない様な現状です。
先ず、絶対的に、優先的に、修理を推奨するべき点として、
・トランスミッションカップリングジョイント(シフトリンケージ)
*ブッシュが完全に死んで抜け落ちており、超スーパーバタースティック状態です。国内在庫パーツ有りです。
・バックランプスイッチ
*トランスミッションに刺さっているスイッチで、これがOEMの安物が使われてしまっている為、それが折れて、そこからオイルが漏れ滲んでいる状態です。国内在庫パーツ有りです。
・フューエルポンプホース(フューエルポンプは中国製のOEMの安物が付いているのでできれば一緒に交換が推奨されます。)
*フューエルタンクとポンプを繋げるホースでUの字型に形が成形されたホースです。国内在庫有りです。
・フューエルタンクに刺さっている樹脂製パッキンからの滲み
*フューエルホースとタンクを結ぶジョイント部から滲みがあり、応急的な処置しかできておりませんので圧によってはポタポタと垂れてしまう可能性大です。対策可でタンクの新品も国内在庫有りです。
・エアコンは風は出ますが温風状態
*減圧側がR12仕様のままなので、134アタッチメントに変更し、一先ず真空引きをしてみる必要があり、取り回しも変更した方が良さそうです。
・右フロントタイロッドのガタ
*一度ロッドを引き抜いてベアリングを交換する必要があります。
と、こんな状態で、はっきりと申し上げますと「やろうと思えばどこまでもできる」といった感じです。
「どこまで仕上げるかの線引き」が非常に難しく、「どこまでも仕上げられる箇所が多数ある」と言った方が正しいところです。
残念ながら、ハイオクガソリンを満タンにしてトリップメーターをゼロに戻したところから、トリップメーターが走行距離共々動かなくもなってしまいました。
恐らく、同年代の空冷のメーターでも多発して起こる「ピニオンギアの割れ」かと思われます。辛うじて、その他のメーターの針は正常に動いております。
また、ホーンの接触もかんばしくはなく、直結すれば鳴るような状況にあります。
アライメントもとっておりませんし、タイヤは当時物のポテンザS-02の転がしタイヤ状態、エンジンマウントも沈んでおりますし、正直「部品取り車コーナーに出すか否か」を散々悩む程の状態の物でありましたが、かろうじて車検が取れ、名義変更ができる状態であるが故にこちらへ出品させて頂いている様な状態なのです。
とは言え、僕も幼い頃に再従兄弟が駆るこの車を指を咥えて見ており、アンチ911派であった自分にとっては涙が出るほど恋焦がれ、ゲームセンターや温泉施設に設置してあったポルシェ928が主役の覆面パトカーである「タイトー・チェイスH.Q」のステアリングを手汗びっしょりで握って目一杯前に座り、短い足でせっせとアクセルとブレーキを踏んではなけなしの¥100玉を放り込み、ゲームソフトを買っては指が擦り切れる程プレイした、憧れという言葉を通り越したものを感じた車でもあり、再従兄弟のご家族の思い出もいっぱいに詰まった車でもある為、それらを尊重し、人格ならぬ「車格」に敬意をもって最後まで責任をもって見送ろうと、こちらへ出品させて頂く事に致しました。
塗装も辛うじて当時のまま、どこも変な改造がなされた箇所は無く、骨格が修復された様な跡も見当たらず、ボロボロな内装ではあるもののオリーブグリーンの内装がまた珍しく良い色で(変な修正がなされている事については非常に遺憾ですが)、純正サスペンションも車高調のような形状をしており、もっと低くローアングルな調整が可能で、今では非常に希少で高価な本物のマグネシウム合金のCupホイールも入っており(刻印もあり綺麗に修正されるべきですが)、これをジャンク故障品、問題商品、可能無法修理,請注意ヤードへ放り込むにはクルマの神様からバチが当たりそうな車両であると感じます。
どなたかが「ラットスタイル(あえてボロボロのスタイル)」でも良いから乗ってみたい、完璧に綺麗に仕上げて乗りたい、サーキットを思う存分に駆け巡りたい、どんな用途であれ、そんな方々が現れてくださったら僕自身も非常に嬉しく、幸せに思っております。
この車を見る方々が口々に「勿体無い、勿体無い・・。」「カッコいいのにね・・。」と言われる度に辛い気持ちになりますし、僕自身もポルシェ乗りの端くれとして、この車を引き取って仕上げてあげるだけの置き場所や経済的実力不足な現実や、甲斐性の無さに悔しい気持ちで一杯です。
とは言え、誰でも良いから乗って頂きたいと言えば、やはり右も左も分からない、ポルシェに対してズブの素人さんには全く向かない個体であるとも感じております。
専門的な知識や、これらを引き取って仕上げるだけのブレーンやバックボーンをお持ちの方にとっては、非常にエキサイティングな「プロジェクトカー」となると考えております。
入札の際には十二分にご相談、お打ち合わせの上、どんな些細な質問でもどうか遠慮なく、後退りする事なく、怯む事なくお申し付け下さいませ。
即決価格に関しましては、当初の打ち合わせ時に想定金額のイメージもあったはあったのですが、状態を鑑みて最初から提示するのも厚かましいという感覚もあり、掲載は控えさせて頂くことで合意致しました。
勿論、即決価格のご相談には乗らせて頂きますので、質問欄にご都合よろしいご連絡先をお送り頂けましたら、返信はせずに直接そちらにご連絡させて頂き、個人情報が公開されぬ様に配慮致しますのでご安心下さいませ。
現車確認や試乗は大歓迎です。是非とも現車をじっくりご覧になってご確認、ご検討下さいませ。ロケーションは東京都になりまして、上記方法でご連絡頂けましたら最寄りのインターないし駅等をお知らせ致しますので、双方の日時とお時間を調整致しましてからお待ち合わせの上ご案内申し上げます。現在リフトアップが可能な環境にございますので、詳しくご説明させて頂けるかと存知ます。
現状、最低限、先ずはやるべき想定推奨交換部品の資料は、既にPCJ(ポルシェ・センター・ジャパン)より図面とパーツのFAXを6枚程取り寄せてありますので、そちらも併せてご覧に入れます。
こういった車両ではあるものの、一応は近しい所でのお声掛けはさせて頂いております為、入札が入っていた場合でも即決価格の合意があった場合はお取り下げさせて頂きますので、予めご了承下さいませ。
改めて申し上げるまでもございませんが、現状販売、ノークレーム、ノーリーターン、ノーキャンセルを厳守して頂けます方と、気持ちの良いお取引を目指し、心がけております。
実際のお取引では、この種の内容を明記した売買契約書を取り交わし、基本に忠実にキャッシュオン・デリバリーで書類と引き換えにお取引にご移行させて頂けたらと思いますので、ご賛同頂ける方からのご入札をお持ち申し上げております。
その際、名義変更等、どこまで整備されるか等々、当方側でもご相談に乗る事は可能ですが、それらは別途費用が掛かります故、こちらもご承知おき下さいませ。
あくまでも基本は現状販売となります。
自走可能ですが、状態が状態である為、遠方の方は大事を取って「陸送」の手段を是非ともご検討下さい。あくまでも、転がる程度の状態であるという現状販売が前提でありますので、途中、何が起こるか分かりません。オンボロもよいところのお車ではございますが、大変希少で貴重な個体である事にも変わりはございません。
ローダーの手配も可能ですが、やはり、それらも別途ご請求という形になりますので、先方様でご手配頂けたり、引き取りに来て頂く分には歓迎致します。
一点、気に留めておいて頂きたい事があるのですが、よく、ちょっと知ったかぶりをしたいのか、苦労人をアピールしたいのか、売るための理由が欲しいのか、簡単に「パーツが出ないパーツが出ない」と騒ぐ方々がいらっしゃいますが、果たして本当にそうかどうかを「きっちり調べる事のできる方」に乗って頂きたいと思っております。
それは車屋さんにも言える事ですが、パーツの入手先が国内にしかルートを持っていらっしゃらないショップさんもございますし、海外で高値でクラシック・ポルシェが取引されている事を知った上で、2013年以降VW.AG100%傘下になり経営陣が刷新されたポルシェAGの現行量産型中古車を捌きたい、その中途半端な年式の在庫を売ると同時に特に人気のミドルスクール・クラシック・ポルシェを手に入れたいが為にその様な事を申され、それらを鵜呑みにして信じてしまう方も多数いらっしゃったかと思います。
そういった個体がロックダウンの影響を境に流出が加速し、円安等の為替の変動等々でどんどん海外へと大量に流れてしまい、昨今の日本市場では実に寂しい在庫状況、プラス価格高騰にもなっている様にも感じ取れます。見渡してみれば世界的ニーズの少ないAT車ばかりで、純粋なポルシェAG時代の人気のMT車は指折りとなってしまいました。
このVW.AGを傘下に収めるポルシェSEという会社は他社とは一味違い、クラシックポルシェのパーツをしぶとく作って着実に利益を重ねるビジネスモデルの方向性を見失ってはいない会社であると見て取れる節もあり、これは私がポルシェに背伸びをしてでも乗り続けている理由の一つです。
それらは、マニアの間では当然、皆が知っている様なアメリカのパーツサプライヤーからのパーツ単体の個人輸入、純正、OEM数社の中から在庫状況を調べてエアーでパーツを飛ばして貰う事で対策できたり、世界最大オークションのebayにアンテナを張ったり、私の場合は、イギリスのサプライヤー2社、ドイツのサプライヤー1社も在庫状況を調べて送って貰うことで、国内在庫に頼らずに対処しております。
必要であればそれらのサイトも同時にお教え致します。パーツ図面等は、ポルシェジャパン公式ホームページからアクセスして入手する方法もあります。
こういったポルシェ社の誠実な対応が、いまだに世界中のポルシェファンを魅了し続けており、少々高くても無理をしてでも維持して行こうというユーザーが存在し続けているのです。
是非、世界のSNSやそのコミュニティーやフォーラムに目を向けて見て下さい。
驚く様な数のオーナー達が現在もクラシック・ポルシェを所有し続けており、中には3Dプリンターを駆使してパーツを作ってしまう強者もいらっしゃる程です。
911(901・930・964・993・996・997)にも其々独自のフォーラムやコミュニティーが存在し、924、944、968、928、も勿論それら独自の情報交換網が張り巡らされており、それらには独自のカラーや人種で構成された非常に興味深く面白い内容となっておりますので、是非とも翻訳ソフトやアプリを駆使してでも潜り込んでみて頂きたいと感じてなりません。
如何に、日本が旧車後進国か、知識が浅いか、レベルが低いかが痛い程わかるような、そんな世界観です。
それは日本から来たクラシック・ポルシェを自慢している外国人が居たりすると、少し複雑な気分にもなってしまいますが、それが現実であったりもします。
アガリの車、つまりは、終わりの車であったり、人生のカンフル剤としてじっくりと楽しみつつ、ゆっくりと付き合いながら迎い入れてみようとお考えの次期オーナー様からのお問い合わせやご入札を、心よりお待ち申し上げております。
長くなりましたが、最後まで長文駄文にお付き合い頂きまして誠にありがとうございました。
現車のポルシェ928S4純正ナンバーズマッチMT仕様のフライホイールの、AT車とは一味違うエンジンレスポンス動画を添付しておきますので、その差を参考にされてみて下さいませ。
それでは何卒一つ、宜しくお願いを申し上げます。拝
(2024年 9月 15日 22時 31分 追加)
大変多くの皆様からのウォッチリストへのご登録、お問い合わせの件、誠に有難う御座居ます。
あまりの反響に驚き、これに伴って、
・「トランスミッションカップリングジョイント(シフトリンケージ)」
の新品部品の代金とお取り替えをサービスさせて頂く事と、本日、パーツがUSから発送されましたのでご報告申し上げます。
これで正規の「928 S4 純正MTバイザッハアクスルのシフトフィール」を味わえる様になるかと思います。
日本に到着し次第早急に組み込みますので、どうか一つ楽しみにして頂きまして、引き続きご検討の程、宜しくお願い致します。