リマスターはかのAndy Pearceが担当(嘗てJimi Hendrixのハーフオフィシャル盤関連を手掛ける。現在のUniversal Musicカタログ再発関連を担当で知られる)でございます。
現在主流のフラットマスタリング方式の模様で情報量重視の感がございますが、非常に良心的な音質でございます(但し、オーディオ機器によりけりでございますが......................)。
但し、制作時に生じたノイズ等の処理が成されている感がありリミックス感がございます...........................
内容は言わずもがな。
ラインナップは名手揃い、Tony Iommi(G)、Geezer Butler(B)、Ronnie James Dio(Vo、ex-Elf、Rainbow)、Vinny Appice(Ds、ex-Axis、Derringer)となります。
そして恒例のゲスト参加故Geoff Nicholls(Key、ex-Quartz)となります。
プロデュースは前作同様Martin Birchとなります。
(かのDerek Lawrence配下のエンジニアで第一期Deep Purple、Wishbone Ash等を手掛ける。その後プロデューサー独立し、第二期/第三期/第四期Deep Purple、Fleetwood Mac、初期Whitesnake、Rainbow、Iron Maiden等を手掛ける)。
また、Angelo Arcuri(後にDioに関わり、全盛期Dokkenのライヴ盤”Beast from the East”を手掛ける)がアシスタント・エンジニアを担当というのが興味深いものでございます。
Rainbowを解雇され、元同僚名手Bob Daisleyとのバンド画策も崩壊となった名ヴォーカリストRonnie James Dioを迎え入れ、
(Bob DaisleyがOzzy Osbourneのかの名手故Randy Rhodes含む新バンド結成に参加の為.......ここからOzzy Osbourneに対する僻みが始まる感が.........)
紆余曲折後に制作した新生Black Sabbath新作「Heaven and Hell」が大好評。
ツアーも大好評となるものの、途中でアルコール依存症等の問題で名手Bill Wardが離脱。急遽オーディション選考で名手Vinny Appiceを獲得しツアー継続。
その後のツアーも大好評となり、その勢いに乗り制作されたのが今作でございます。
アメリカ配給レコード会社”Warner Brothers”は前作の大好評があり、ワンショット的であった契約を延長。
但しRonnie James Dioにソロ契約を打診、それをRonnie James Dioが受諾した事からバンド内に不穏な空気が流れる事となります......................................
さて今作。
前作では一時離脱していたGeezer Butlerがスタジオ制作入り直前で復帰(代理ベースは故Geoff Nicholsが担当)。
Iommi/Dioに(クレジットは無いものの)Geoff Nicholsが絡むという前作の原曲制作には携わっていなかった事実がございます。
今作では制作当初からGeezer Butlerが関わっている事がミソ。
そもそもBlack SabbathはTony Iommiと並ぶ重要な作曲者でもあるGeezer Butlerの権限が強いもの。
へヴィさが強められ前作の甘美なメロディ感覚は後退。
またGeezer Butlerの演奏者としてのリズム重視があり(前作と打って変わり)初期Black Sabbath的なロック的躍動感やシンプルさ、勢いが強まったものとなっております。
されど楽曲は非常に充実したもの。
前作が”Rainbow”的過ぎるとの批判がファンから挙がり、その反省に立った感がございます。
(へヴィなリフ・メイカーとして知られるTony Iommiのそもそも強く持ち合わせるメロディ・メイカーとしての才能。深いメロディアスさや繊細さ・綿密さがRonnie James Dioとの邂逅で強く前面に出ただけの感が..)
但し、そこにバンド内の音楽性の主導権争いが垣間見られるものでもございます...............................(Iommi/ButlerとRonnie James Dioの対立が.......)
また新生面として”Slipping Away”の様な、かの”Led Zeppelin”Grooveが聴かれる楽曲があり、後にRonnie James Dio解雇後の後任にかのRobert Plantに白羽の矢を立てた事が伺えるものでもございます。
(加入する訳が無い!)
現在では名盤として高い評価。当時も前作に近いセールスを記録するもののツアー動員等前作程の高い評価を得られず、主導権争いもありバンド内は不穏な空気が更に流れる事となります...................
以前のマネージメントがバンド未許可でリリースしたオリジナル期Black Sabbath全盛期のライヴ盤”Live at Last”(現行は”Past Live”と公式改訂・拡大化)が似た時期に大セールスを叩きだした事があり、
当時の現行Black Sabbathがライヴ盤制作をマネージメント主導で企画。
バンド内の確執を冷却化する目的もあった感がございますが、それに反して対立は激化していく事となります.......................................................................
こちらはボーナス曲二曲。
シングル”Mob Rules”のB面収録の貴重な”Die Young”実況録音。映画”Heavy Metal”のサントラ盤に収められたデモ録音(それにしては高音質でございますが.......)”Mob Rules”でございます。
後者は当時かのRingo Starrが所有し録音用スタジオとして貸し出されていたかのJohn Lennonの邸宅での録音となります(後にWhitesnake等が使用)。
大した録音機器がなく、苦心の末の録音だった模様でございますが非常に躍動感と良い意味での荒さがあり、本編ヴァージョンよりも良いとの評価がございます。
さて、ボーナスCDでございますが、
1981年12月31日、1982年1月1日・2日英国・ロンドン”Hammersmith Odeon”での実況録音からの抜粋となります。
そもそも嘗て(通好み再販レーベルとしての御馴染みだった)”Rhino”の”Rhino Handmade”部門からの限定リリースであったものでございます。
当時の録音機材車を使用した公式録音の模様で非常に高音質。(音質の有り方から”BBC”放送用に録音された感がございます..................................)
今作リリース直後という事がありツアー極初期でセットリストが異なるものでございますが、そもそもが以前の”Heaven and Hell”ツアー差し替え公演の模様でございます。
後に制作されるライヴ盤”Live Evil”には収録されなかった(ツアー初期の段階で外され”The Sign of the Souther Cross”へ変更)”Slipping Away”や”Country Girl”が聴かれる事がミソでございます。
(またVinny Appiceのドラムソロの有り方も異なるもので、更にはここでは”Slipping Away”~”Iron Man”の繋ぎにて収録。”Heaven and Hell”も観客との掛け合いがソロ後、Tony Iommiのソロも異なるもの......................)
ツアー極初期とは言え、非常に纏まったアンサンブル。
”Live Evil”ではあまりにもがなりがちであったRonnie James Dioのヴォーカル(浪曲じゃあるまいし.......玉川良一か!と思いましたが..........)も控えめで案外伸びやかなもの。
ヴォーカル・マイクのハウリング音等技術的なミスはございますがスタジオ制作で修正可能の感もあり、何故この録音を”Live Evil”の素材に使用しなかったのだろうか?との感がございます。
(ちと音が薄い感がございますが、これもスタジオで厚みを増せば済む話でございますが............................................)
そもそも公式ライヴ盤”Live Evil”自体が1982年4月9日アメリカ・サンディエゴ”San Diego Sports Arena”公演”での録音を基に制作された模様でございます。
こちらは何せアリーナ公演。
録音のスケール感そしてそれに伴う演奏・アンサンブルのスケール感を生かしたい、というバンドの意向(というかIommi/Butler)が感じられる感がございます。
されどヴォーカル等のコンディションや演奏・アンサンブルの出来を巡ってバンド内の決定的な亀裂を生んだ感がございます。
後の名手Vivian Campbell在籍時全盛期Dioがフルレンス・ライヴ盤を何故造らなかったのか?という感がございますが、”Live Evil”制作時の醜い対立が尾を引いていた感がございます............................................................
この機会に是非。
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