『岸辺のアルバム』『ふぞろいの林檎たち』『想い出づくり』
『男たちの旅路』『早春スケッチブック』など、数多くの名作
ドラマの脚本を手がけた山田太一さんが、本年(2023年11月29
日)に逝去なされた。ありきたりの日常を描きながらも、その
奥底に潜む社会問題を鋭く炙り出した作風はお見事であった。
私たちの世代にとっては、倉本聰や向田邦子の両氏とともに、
山田太一先生は、物書きを志す若者のよきお手本であった。
本出品の山田太一の直筆サイン色紙(特別写真入り)は、今
を去ること約40年前に、山田先生本人が喜んで書いてくれた
ものだ。私が所属していた新聞社の学芸部長が、山田先生の
単独インタビューが行うことになった。当時、私は音楽担当記者
で直接関係はなかった。しかし、シナリオ好きで学芸欄の書評
にいくつかを執筆し、山田崇拝者であることは社内で知られて
いた・・・。そんなワケで、インタヒュー当日、学芸部長から同席
しインタビューするように命じられた。
前年、代表作の『ふぞろいの林檎たち 第一弾』(TBS)が
オンエアされ大きな話題を呼んでいた。私は、原作脚本を熟
読し、ドラマもビデオに録画してすべてを見ていた。物語に
登場する、落ちこぼれの大学生たちは同世代で、彼らに重く
のしかかった学歴偏重社会の悲哀や、勝ち組負け組の弊害
について、私自身強く疑問を抱いていた。身近な例をあげな
がら、じっくりと対話することができた・・・。
一時間の取材予定は、話がはずみ3時間以上となった。最
後に私はサインを恐るおそるお願いした。御存じ、山田先生
は、大書店のサイン会の著作以外、色紙には直筆サインをし
ない方で有名であった。だが私のために、この色紙に「名前
と日付だけで申し訳けないが」と署名して下さった。さらに
学芸部長は、写真部のカメラマンに「色紙の余白に貼り付け
る写真を一枚紙焼きにするように」と頼んでくれた。ある意
味では、そんな一期一会の結晶のサイン色紙である。
その日以来、私の部屋の一番目立つ所に飾っていたので、
経年の「ヤケ」は、何卒御容赦して頂きたい。私も複数のガ
ンによる4度の手術、今やいつお迎えが来るわからぬ身とな
り出品を決意した次第である。落札商品は、厳重に厚紙でガ
ードし、安全性を考慮し宅急便かゆうパックで発送したい。
送料は当方が負担致します!