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ヘルマン・ヘッセ著、「車輪の下(Unterm Rad)」です。実吉捷郎訳、岩波文庫。読みやすい改版です。状態は、非常に良好です。送料はクリックポストで185円です(※厚さ2cm以下の文庫本は、合計1㎏を超えない範囲で計4冊程度まで同梱可能です)。
★内容: 周囲の人々からの期待を一身に背負い、その軋轢の中で心を踏み潰されていく少年の姿を描く、ヘッセの自伝的長編小説。ハンスという少年は、天才的な才能を持ち、エリート養成学校である神学校に2位の成績で合格する。町中の人々から将来を嘱望されるものの、神学校の仲間と触れ合ううちに、勉学一筋に生きてきた自らの生き方に疑問を感じる。そして、周囲の期待に応えるために、自らの欲望を押し殺し、その果てに、ハンスの細い心身は疲弊していく。勉強に対するやる気を失い、ついに神学校を退学する・・・。その後、機械工となり出直そうするが、挫折感と、昔ともに学んだ同級生への劣等感から自暴自棄となり、慣れない酒に酔って川に落ち死ぬ。溺死したようにも受け取れるが、真相は語られてはいない。
ヘッセは、少年時代の神学校在学時に、「詩人になれないのなら、何にもなりたくない」と悩み、不眠症とノイローゼを患うようになった。その結果、神学校を退学、精神療養を経て、一般の高校に転校する。その後も、どうすれば詩人になれるのかを悩み続け、再び高校を退学、本屋の見習いとなった。しかし、3日でその店をやめて、消息を絶ってしまった。この物語の主人公であるハンスには、周りに誰も支えてくれる人がいない。それに対して、ヘッセには、母親がいた。そして、母親の存在があったおかげで、ヘッセは立ち直ることができた。ハンスとヘッセとの大きな違いである。
★著者、ヘルマン・ヘッセ(Hermann Hesse)は1877年、ドイツ、シュヴァーベン地方カルヴ生まれ。ヘッセ家は、エストニアのバルト・ドイツ人の家系。スイスのバーゼルの父母が働く伝道館で育つ。神学校を中退、町工場や書店で働くかたわら、独学で文学の勉強を続ける。1902年、『詩集』(のち『青春詩集』と増補改題)を発表。1904年に『郷愁』で一躍人気作家となる。同年に結婚、ライン河畔の寒村に移り、長編『車輪の下』(1906)、『春の嵐』(1910)を発表する。第一次、第二次大戦に対しては平和主義を表明する。その間、自身の深い精神世界を描いた『デミアン』(1919)、『ガラス易碎品限空運,非易碎品可使用海運。 玉遊戯』(1943)などの小説を書く。作品は、南ドイツの風物のなかで、穏やかな人間の生き方を描いたものが多く、また自身の水彩画を添えた詩文集も刊行している。20世紀前半のドイツ文学を代表する文学者となり、1946年に『ガラス易碎品限空運,非易碎品可使用海運。 玉遊戯』などの評価によりノーベル文学賞、ゲーテ賞を受賞。1962年死去(享年85)。
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