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1988年の作品。
パティ・スミスは、1946年12月30日生まれ、米国出身のシンガーソングライター、詩人、作家、画家、写真家です。
今作は彼女の5枚目のアルバムであり、前作『ウェイヴ』から、実に9年ぶりの作品となりました。。
ここまでブランクが生じた要因のひとつには、彼女のプライベートでの出来事、結婚がありました。
相手はフレッド・スミス(Fred "Sonic" Smith)。
1948年9月14日生まれの彼は、米国のロック・バンドMC5の結成者でありギタリストでもありました。
MC5は、1964年後半にミシガン州デトロイトで結成されたバンドで、耳をつんざくような歪んだ大音量の演奏と妥協を許さない激しさを持つボーカル、歌詞に込められた革命的なスローガンとライヴ・ステージでの反体制的な暴挙は、セックス、ドラッグ、ロックンロールの三位一体を謳歌し、同時代のヒッピーたちの平和と愛の夢想にも牙を剥き出すような過激な姿勢で、70年代初頭に解散するまでの短い活動期間に3枚のアルバムを残し猛烈な勢いで駆け抜け、その後のハード・ロック、ヘヴィ・メタル、そしてパンク・ロックに影響を与えた"早過ぎた存在"のバンドでした。
そんなバンドのリーダー的存在だったフレッドに、ニューヨークのアンダーグラウンド・シーンの詩人だった彼女が、そのアーティストとしての表現方法が対照的に異なることも含めて惹かれたのでしょう。前作『ウェイヴ』には彼に対するストレートでポップなラヴ・ソング『Frederick』が収録されていました。
そして、過去に彼女は21歳のときに予期せぬ妊娠・出産のために子供を養子に出すという経験をしており、さらにこの出会いが彼女の人生にとって大きなものだったのかもしれません。
さらに創作面での大きな要因として、彼女のアーティストとしての活動がひとつのピークを迎えていたということが大きかったと思われます。
ニューヨーク・アンダーグラウンド・シーンのアートとパンク・ロックを融合したスタイルでデビューした彼女のスタイルは、作品を追うごとにロックンロールの比重が高まり、伸びやかでストレートなポップ・ミュージックとして昇華され、音楽に向かうことの喜びさえ感じられるものに変化していきました。
その総決算的な作品が『ウェイヴ』であり、そこに彼女のライフ・イベントでの大きな出来事が重なり、ブランクを生んだのではないでしょうか。
今作は、夫フレッド・スミスと共に制作した初めてにして唯一のアルバムであり、フレッドはギタリストのみならず、ジミー・アイオヴィンとの共同プロデューサーとしても参加しており、その内容は今までになくポップというだけでなく、確信に満ちたポジティブな姿勢を感じさせます。
先行シングルとなった『People Have the Power』のような政治的メッセージから、『Paths That Cross」のような個人的な思い出、彼女のメンターでありロバート・メイプルソープのパートナーだったサミュエル・J・ワグスタッフに捧げられたものまで、洗練されたラヴ・ソング、子守唄も含めて、穏やかで確固たるスタイルが貫かれています。
そのロバート・メイプルソープは、今作のジャケット・デザインも担当し、整えられた黒い髪と黒いコーディネート、真っ直ぐ向けられた視線の顔の穏やかな表情の下で重ねられた掌の左手の薬指には2つの指輪はささやかな至福感を表現しているようで、前回撮影したファー※請確認是否動物毛皮。動物毛皮製品屬於華盛頓條約条約牴觸物品,無法國際運送。スト・アルバム『ホーセス』でのポートレートとは全く異なる雰囲気が伝わってきます。
しかし本来の『ホーセス』以来のパティ・スミスの音楽活動には、常に変化のなかに身を任せざるを得ない、そこからインスピレーションを得ていく彼女の存在があり、今作は単なるカム・バックに留まらない、新たなスタートを切るための準備に取り掛かったことの、静かな心境報告だったのです。
それは今作から8年後に発表されるアルバム『ゴーン・アゲイン』 で明らかになります。
ドイツ輸入盤のため、英詞が記載されているのみで、日本語関係の資料はありません。
経年により、白い紙の部分に少しだけシミがありますが、それ以外は美品です。 >