・FUJINON 55mm F2.2
・フロントキャップ(ノーブランド・新品)
・リアキャップ(ノーブランド・新品)
・絞り開放時に美しいバブルぼけが描写ができることで有名なレンズです。このレンズは画面の外周付近まで真円に近く繊細な輪郭をもつきれいなバブルぼけができる特徴があります。
・出品個体はバブルぼけ内部にレンズ内のチリやレンズの劣化に伴う影が全く見られず上質なバブルぼけが撮影できます。メインの商品写真にバブルぼけの拡大写真を入れてありますのでご確認ください。もしも、レンズ内に目立つチリやレンズの劣化部分などあるとすべてのバブルぼけ内にそれらが影として投影され,汚れたらシャボン玉状に写ります。後述のリンク先内にある29.jpgがその実写例です。 ・今回出品した個体の特徴はサークルゴーストが発生することです。同型のレンズには同様のものが時々見かけられますが、その割合は少なめです。
・同型のレンズは多くの個体で距離環の先端等にひび割れが発生しており、ひび割れが進行したものではフォーカスリングの先端部が欠損しています。また、指標環のねじ穴部分でひび割れや断裂が発生しているものも多く見られます。出品した個体の距離環は内部構造がひび割れを発生するタイプのものと異なるため、ひび割れが全くありません。
・このレンズはM42マウントですが、マウントアダプターを選択する際には注意が必要です。詳細は商品説明の後段に記述しています。後述のリンク先内にある28.jpgがその関連写真です。 ・背後から強い光で照らすと後玉表面に劣化部分が見られますが、薄いものでバブルぼけの質の低下にはつながりません。暗室内で明るい光源を撮影するなど極端な逆光条件ではフレアの影響で背景が白っぽくなります。しかし、その他の多くの撮影場面では実写例のようにクリアな撮影結果が得られています。
・距離環はよく見られる先端部にひび割れが発生するものとは内部構造が異なり、同様のひび割れは発生しないタイプです。この距離環は樹脂製ですがよく似た外観で金属製のものもあり、現在別の商品ページから出品中です。似てはいますがよく見比べると形に違いがあるほか、距離環内側にあるねじ止め部分に見られる塗装の剥げた部分に金属色が見えます。その部分2か所にテスターを当てて調べると通電することを確認済みです。
・距離環に小さな削れのような傷が複数あります。
・指標環にあるネジ穴3つのうち1か所に断裂があったため補修しました。その跡があります。
・文字やマークも鮮明で見やすく比較的きれいな部類だと思います。
・レンズの外観は前述のリンク先にこのレンズの高解像度画像がありますのでそちらでご確認ください。
【可動部の状態】
・フォーカスリングは全周にわたって一定の手応えでスムーズに回転します。逆転時の遊びはなくピント合わせを正確にできます。ヘリコイドにラップ研磨処理を行ったため、回転時に指先にざらつきなどの違和感が伝わってくることはありません。
・絞り羽根に油の付着はなくきれいです。
・絞り羽根の動作はFUJICAST-801ボディに取り付けて確認しましたが,シャッターに連動して迅速に開閉しました。
・絞りリングはクリック感が良く、軽い力でスムーズに回転します。
・フォーカスリングおよび絞りリングの操作感は、多くの方に良好だと感じていただける状態に整備できていると思います。
【このレンズの特徴等】
・美しい『バブルぼけ』描写ができる比較的ローコストなレンズです。バブルぼけレンズは海外製の高価なものが数種類知られていますが,FUJINON 55mm F2.2はそれらと比較すると安価に入手できるにもかかわらず,バブルボケの質は勝るとも劣らないはど良質なものだと感じます。
・商品写真中のバブルボケ写真を見ると、単なる玉ぼけではなく,玉ぼけの周囲に円形の繊細な輪郭ができシャボン玉のようにも見えます。それらの輪郭が重なり合うような描写になることがお分かりいただけると思います。特にこのレンズのバブルぼけは輪郭が細く明瞭で、この輪郭の重なり合いが大変きれいです。
・背景にある点光源がバブルぼけになります。
・このレンズによるバブルぼけは,画面の周辺付近でもほぼ円形を保っている点が特徴です。他のレンズでは円形のぼけが画面の周辺に行けば行くほど形が楕円形にひしゃげていくものがあります。
【分解整備の内容】
・内部のレンズ面に付着していたチリなどを可能な限り清掃しました。完全に取り除くことはできていませんが,クリアな状態になったと思います。商品写真中のレンズ背後からライトで照らした画像をご確認ください。
・個々の部品に分解した際に水洗可能な部品はすべて洗剤による洗浄を行いました。表面に付着した汚れや不要な油分を除去しました。
・絞り環、指標環の文字やマークの色が退色していましたのでオリジナル色の近似色に調整した油性ペイントで補修しました。これらのペイントは文字やマークの刻印内に入れてあり水濡れにも耐えるため,簡単には落ちてしまうことはありません。
・フォーカスリングのヘリコイドに使用されていた古く汚れたグリスを除去し、ヘリコイドの溝の中までラップ研磨と呼ばれる方法で磨き上げ,溝の奥にたまった細かな汚れを取り除くとともに表面をより平滑にしました。その後,粘度が適した新しいグリスを隙間なく充填しました。
・指標環のねじ穴3か所のうち1か所にひび割れが進行した断裂がありました。その断裂部分をエポキシ系接着剤で接着するとともにその部分の内面に樹脂製のプレートを接着し、より広い面積で固定しました。
・FUJICAST-801にマグニファイアを取り付けて確認しながら無限遠マークの中心で無限遠にピントが合うように調整しました。ミラーレス一眼にマウントアダプターを介して取り付けた場合は、そのマウントアダプターの設計や工作精度によって無限遠位置が異なりますが、オーバーインフの(無限遠マークのわずかに手前で無限遠にピントが合う)ものが多いと思います。マウントアダプターに取り付けて無限遠を精密に調整しても、その時使用したものでしか正確な無限遠が出ないため、フィルムカメラを基準にして調整しました。フィルムカメラで星や遠景の写真を撮影する場合に、フォーカスリングを∞位置に合わせただけでピントが合う状態になっています。
・無限遠調整は天体望遠鏡の接眼部に人工星を取り付けたコリメーターで行いました。
【適合するマウントアダプターについて】
私はこのレンズをM42マウント用のマウントアダプターを使用してミラーレス一眼に取り付けています。この場合、マウントアダプターはFUJINONのM42マウントに対応するものを選んで使用する必要があります。FUJINONのM42マウントレンズには絞り環からマウント部に小さな突起が出ています。そのために、この突起と干渉しない構造になったM42マウント用のアダプターが必要です。私が使用しているのはK&F ConceptのM42マウント用アダプターです。このアダプターはマウント面が2段構造で外周部が低くなっているため絞り環の突起が干渉しません。また、このマウントアダプターはピン押しタイプにもなっています。ピン押しタイプ以外では絞りが開放のままになってしまします。前述の実写例を置いたリンク先に関連画像を置きました。(28.jpg) フィルムカメラで使用する場合はFUJICAだけではなくPENTAX SP等のM42マウントカメラでも取り付け可能です。