※ほかにも分解清掃済レンズを出品中です。よろしければ出品リストからご覧ください。
<出品物は以下の5点です>
1 VARI 60SAQ 570-1000mm(クイックフォーカス機構装備)
2 フロントキャップ(Canon)
3 Canon EFマウント用Tマウントアダプター(新品で購入し2~3回使用)
4 リアキャップ(SIGMA Canon EFマウント用)
5 取扱説明書(以下の3種)
(1)VARI 60SA説明書
(2)クイックフォーカスの説明
(3)キャノンイオスカメラでの写真の撮り方
※このレンズはこれまで主に天体の観望や天体写真の撮影など天体望遠鏡的な用途に使用してきましたので天体写真撮影にかかわる説明が多くなっていますが,ネイチャーフォトをはじめ一般の撮影対象にも使用でき、遠方のものをシャープに撮影できます。出品した個体は外観がきれいで光学系は全くと言ってよいほど劣化部分が見当たりません。
※VARI 60SAQはすでに営業を終了したスリービーチ社が開発した製品で同社の特許をもとに製造された「セミアポクロマート非球面レンズ使用光学系」です。同じ光学系を採用したいくつかのバージョン,ノーマルタイプのVARI 60SA、テレコン付属のVARI 60SAT,クイックフォーカス機構付きのVARI 60SAQなどがありました。今回出品した個体はクイックフォーカス機構装備のものです。
※出品した個体による実写例や外観及びレンズの状態等についての画像を以下に多数アップロードしてありますので入札をお考えの方はぜひご覧ください。また,ここには口径5cm~10cmの同一特性光学系別個体による実写例をフォルダ分けして置きましたのでよろしければご覧ください。
【商品の状態および特徴等】
○カビ,くもり,バルサム切れはなく,レンズ全体の透明度はかなり良好です。
〇コーティングの反射光はむらがなくきれいな状態です。
○実写結果から中心解像力が高くコントラストが良好な描写ができることを確認しています。
○フォーカスリングの回転はスムーズです。
○鏡筒表面の状態は軽微な傷が見られるものの使用感は少なめで目立つ傷もなくきれいです。
〇マウント部に接眼レンズを取り付ける工夫をすると天体望遠鏡として使用でき,月面のクレーター,木星の縞模様,土星のリング等も観察できます。
〇クイックフォーカス機構の動作は正常でベストフォーカスで撮影する際に大変役立ちます。
【商品写真中の実写例に関連した説明】
・スリービーチ社製の同コンセプト超望遠レンズは口径5㎝から10㎝まで多くのバリエーションがあります。これまでにこれらをすべて入手して撮影画像を確認しましたが、正確なピント合わせとシャッターブレ対策を行うことで、中心解像力の高さを発揮した撮影結果が得られています。
・実際に使用してみると長焦点でのピント合わせは,わずかなピント位置のずれでも像があまくなり,シャッター幕の動作に伴うわずかな振動でぶれが生じます。
・実写例のピント合わせではクイックフォーカス機構を有効に活用しています。この機構はフォーカスリングの手前のリングで操作しますが,絞りリングのようなクリック機構のあるピント微調整機構です。取扱説明書によるとワンクリックで0.06mmレンズが前後するとなっています。最初にベストピントと思われるクリックポイントで撮影し,その前後に1クリック分ピントをずらして合計3コマ撮影するとそのどれかがベストピントになるという考えの機構です。
・私の場合はベストピントの位置を2つのクリックポイントの間にとらえ,2つのクリックポイントの間で少しずつピント位置をずらして撮影していました。2点のクリックポイントの間のストロークは1.5cm程度あり,その間でフリーストップが可能です。
・シャッターぶれへの対策としては,レンズを三脚に固定して、シャッター幕が動かない電子シャッターに設定しました。また,シャッターを切るときにはカメラに触れることなく赤外線リモコンで操作しました。
[冬山を撮影した写真]
過去に同型別個体を使用して撮影地点から約約35km先の旭岳山腹にある旭岳ロープウェイ姿見駅周辺を撮影したものです。
[月面写真]
1000㎜で撮影した写真に画像処理を行い、記録されている情報がより明瞭になるようにしました。その詳細は後段の説明の中に記述しました。
[月面や惑星など写真を複数まとめた写真]
同社のの超望遠レンズVARI 7000(口径5㎝)とBIG 88DA(口径8㎝)で撮影した写真に画像処理を行ったものです。口径が大きくなると分解能が向上するために、より細かい部分まで写っています。
【株式会社スリービーチの特許について】
スリービーチ社の情報をネット検索していた時に同社の望遠レンズに使用されている特許についての記述を発見しました。特許のタイトルは「望遠鏡用・双眼鏡用対物レンズをカメラレンズに転用する補正レンズ」となっていて,私にはその内容を完全には理解することができませんが,簡単にまとめると以下のようになります。
○望遠鏡用・双眼鏡用対物レンズをそのままカメラレンズとして使用すると,フィルム面にできる像の実用面積が狭く,周辺減光が大きくなる。また焦点距離を変化させることができない。これらの,問題点を解消するために使用する補正レンズについての特許。
○この補正レンズは2群1枚構成の貼り合わせレンズになっている。
○カメラのマウント側で空気に接している面は放物面の凹面になっている。したがってこの光学系は非球面レンズを使用していることになる。
○この補正レンズを使用すると対物レンズ単体時の分解能をわずかに上回る。
○この補正レンズとフィルム面の間隔を変化させることで焦点距離を変化させることができる。
○口径50mm,焦点距離220mmの対物レンズにこの補正レンズを組み合わせると焦点距離420~750mmのズームレンズになる。
○口径80mm,焦点距離410mmの対物レンズにこの補正レンズを組み合わせると焦点距離800mm~1,400mmのズームレンズになる。
【送料】
・「ゆうパックおてがる版」送料無料で発送致します。
☆お願い☆
・オークションの終了後①24時間以内に取引を開始し、②48時間以内需在賣家要求時間完成匯款に支払いを完了していただける方のみの入札をお願い致します。
・①,②の期限が過ぎた場合は補欠落札者に連絡を取る,または,再出品のため「落札者都合にて削除」させていただきます。
・このレンズは,入手した時点で既に中古品でした。新品と同等の品質を希望される方にはご満足いただける状態とは言えません。入札される場合はそのことをご了承くださいますようお願い申し上げます。商品写真と実写例をじっくりご確認いただいた上で入札をご検討ください。
【送料】
・「ゆうパックおてがる版」送料無料で発送致します。
☆ここから先は,出品個体にかかわる内容もありますが、これまで私が入手して使用してきたスリービーチ社製のVARIシリーズとBIGシリーズの望遠レンズについての,実写結果に基づく詳細な説明です。これらの製品はすべて前述の特許を用いた光学設計になっています。ご興味をおもち方はご覧ください。
【天体写真撮影への適性】
○スリービーチ社は,もともと天体望遠鏡のパーツや完成品を扱う老舗の町工場的なメーカーです。ある時期から一眼レフカメラ用の望遠レンズも手がけるようになりました。今回出品したタイプの超望遠ズームレンズは複数のバリエーションが存在しています。
○私自身,口径5cm・6cm(今回の出品物)・8cm・10cmを所有し,すべて実写に使用してきましたが,これらの超望遠ズームレンズは,いずれの口径のものも基本的な構造とともに光学的特性が共通しています。それは,高倍率での使用を前提とした天体望遠鏡と同様に中心解像力が高く,中心から離れるにつれて解像力が低下する傾向が顕著だということです。
〇一般的なカメラレンズの場合,画面の周辺までできるだけ均一な解像力を確保できるように設計されているため,周辺部での像の悪化は少なくなっています。しかし,その分画面中心部の解像力は多少犠牲になっているようです。それに対して昔からある天体望遠鏡は高倍率での使用にも対応できるように,中心部の解像力を重視した設計になっています。
〇VARI 60SAQが発売された当時はフィルムカメラが主流だったため35mmサイズ(現在のデジタル一眼ではフルサイズ)で使用できるイメージサークルを確保していますが,フルサイズで使用すると特に570mm側で使用したときに画面周辺で像が流れ気味になり解像力の低下を感じます。しかし,現在のデジタル一眼で多くの方が所有しているAPS-CサイズやDXフォーマットのセンサーをもつカメラで使用すると,像の流れが目立つ外周部は画角外となるため解像力が高い中心付近の像だけを利用することになり,画面周辺までシャープな描写ができます。フルサイズのカメラで使用しても,月面写真や惑星写真などでは外周部が真っ暗な空の部分になるため良好な撮影結果が得られます。
〇フルサイズで使用した場合でも野鳥の写真などでは,中央の被写体にピントを合わせると,像が流れ気味になる外周部は多くの場合に被写界深度外となり像の流れが気にならなくなります。
○このレンズは本来カメラレンズとして設計されたものですが,VixenのM42T-31.7 ADSX(現行製品)を使用して接眼レンズを取り付けると高倍率でもシャープに見える天体望遠鏡として使用できました。また,M42T-31.7 ADSXにはVixen製のカメラアダブターを接続することができ,接眼レンズを使用した,高倍率撮影も可能です。
【実写例の中にある天体写真について】
○撮影法
月面写真の場合は赤道儀を使用せずにカメラ用三脚に固定した場合でも,月面全体を画面内におさめる拡大率の場合は,シャッター動作に伴う振動防止に配慮することで十分にシャープな画像が得られました。また,レンズの解像力が高い分,わずかなシャッターぶれの影響が大きく表れますので前述の方法で振動対策をしています。
○接眼レンズなど,強めの拡大光学系を使用してさらに焦点距離を伸ばしてより高画質な月面写真を撮影することも可能です。ただし,その場合は月を画面の中心にとらえることに手間がかかるほか,露出時間が長くなり日周運動による像が流れが発生するため天体望遠鏡と同様に赤道儀に固定して自動追尾を行う必要があります。
○撮影後の画像処理
Adobe photoshop CS2を使用して以下の画像処理を行っています。
①[シャドー・ハイライト処理]で欠け際とリム部の明暗差を調整しました。昔はMINI COPYフィルムで撮影しPOTA現像したネガから覆い焼きを施す方法でプリントし,思うような仕上がりになるまで印画紙を何枚も無駄にしたものです。しかし,この機能を使用すると簡単に思いどおりの調整ができます。
②クレーターなどの輪郭を目立たせるために[アンシャープマスク処理]と[ガウスぼかし処理]を組み合わせ,それぞれの処理で設定するパラメーターの調整をしながら月面が自然かつシャープに見えるようにしました。
[惑星写真](前述のリンク先に,別機種による実写例を置きました)
①拡大撮影をしても,画面の中では大変小さく写っていますので,部分拡大をしています。
②部分拡大をしたことで惑星表面にノイズが目立ち,表面の様子が不鮮明になります。そこで,連続して撮影した画像を複数枚加算平均することで,ノイズ成分が平均化されて目立たなくなり,実際に存在する模様は平均化されても消えることなく残ります。
③月面写真と同様に[アンシャープマスク処理]と[ガウスぼかし処理]を組み合わせることでより鮮明な画像に仕上げました。
【スリービーチ社について】
天体望遠鏡が欲しかった私は1970年代にスリービーチ社から接眼レンズ等の部品を通信販売で入手し,小さな天体望遠鏡を組み立てて天体を見ていました。同社はこの当時,毎月天文雑誌に天体望遠鏡の広告を出していたため,当時の天文マニアにはよく知られた天体望遠鏡メーカーでした。ある時期からは自社開発のスリコールという名を冠した望遠レンズも広告に加わりました。しかし,いつの間にか天文雑誌からは姿を消し,ある日の新聞か雑誌の広告で超望遠レンズのメーカーとして安価でお買い得な望遠レンズを売り出していることを知りました。ネット上の情報によるとこのメーカーは職人による自社生産を行う町工場のようなところのようです。しかし,同社は最近になって営業を終了してしまったという情報も見つかりました。出品物のVARI 60SAQなど,同社の超望遠ズームレンズは他のメーカが発想しないようなスペックの製品で,周辺部の画質劣化はありますが超望遠撮影がローコストで実現できる製品だと感じます。
あまりにも安価なため,安かろう悪かろうという印象を与えてしまうところもあったと思います。しかし,私自身しばらく前に同社のVARI 7000と8000Sを試しに中古で入手し,月面写真を撮影したところ,予想外にシャープな写りに驚きました。ついでに,土星や木星も撮影してみましたが土星については,撮影画像を拡大してみると輪が確認できるだけでなく,気流の状態が良好なときには,輪の中にあるカッシーニの空隙までなんとか判別可能な画像が得られました。その後,同社のVARIおよびBIGシリーズの別機種を見つけるたびに入手しては実写結果の比較を行うことに興味をもち,現在に至っています。