[中古本] | ||
表紙ややキズこすれあり | ||
中身は比較的きれいですが、やや紙ヤケあり(書き込み等なし) | ||
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生活にたゆたうこころの機微を、 自らの来し方と重ね合わせて描いた最後の長編。 明治時代の終りに東京の下町に生れたるつ子は、あくまできものの着心地にこだわる利かん気の少女。よき相談役の祖母に助けられ、たしなみや人付き合いの心得といった暮らしの中のきまりを、“着る"ということから学んでゆく。現実的で生活に即した祖母の知恵は、関東大震災に遭っていよいよ重みを増す。大正期の女の半生をきものに寄せて描いた自伝的作品。著者の死後出版された、最後の長編小説。 本書「解説」より 他の作家の作品のなかには、この『きもの』以上に主人公が作者自身だと分っても、「知的操作」が施されているものが多い。それは著者の“職業作家"としての意識であったり、含羞がもたらす韜晦(とうかい)の結果であったりする。その操作の跡が味気なく見えてくることもあれば腹立たしくなることもある。勿論、好ましく感じられる場合もそれなりにあるが、この『きもの』にはそうした操作の跡が見当らないと言っていいだろう。 それは何故か。作者が自分の立場や見栄、他人のどう思われるかなどについて無頓着だからである。一人の人間、それも女として、目に映った事柄を率直正確に描くことに徹していて体裁を考えることがないのである。 ――辻井喬(作家) 幸田文(1904-1990) 東京生れ。幸田露伴次女。1928(昭和3)年、清酒問屋に嫁ぐも、十年後に離婚、娘を連れて晩年の父のもとに帰る。露伴の没後、父を追憶する文章を続けて発表、たちまち注目されるところとなり、1954年の『黒い裾』により読売文学賞を受賞。1956年の『流れる』は新潮社文学賞、日本芸術院賞の両賞を得た。他の作品に『闘』(女流文学賞)、『崩れ』『包む』など。
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商品名稱 : | きもの/幸田 文/明治時代/東京下町/るつ子は、たしなみや人付き合いの心得といった暮らしの中のきまりを、着物を通し学んでゆく/関東大震災 |
備註 : | |