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1980年の作品。
ウォーレン・ジヴォンは、1947年1月24日生まれ、2003年9月7日に逝去した、米国出身のシンガーソングライターです。
シカゴに住むウクライナ系ユダヤ人移民の家系に生まれた彼は、家族と共にカリフォルニアに移住し、10代前半で音楽に興味を持ちピアノとギターを弾けるようになると、13歳のときに同じくウクライナから米国に移住していた偉大な作曲家イーゴリ・ストラヴィンスキーに偶然出会います。
この出会いにより、彼はストラヴィンスキーから作曲家で指揮者のロバート・クラフトを紹介してもらい、彼はますます音楽にのめり込でいきます
そして両親が離婚して間もなく、16歳のジヴォンは高校を辞め、ニューヨークへ向かいました。
そして1964年、彼は昔からの友人のバイオレット・サンタンジェロとアイム＆サイベル（lyme and cybelle）いうフォーク・ロック・デュオを結成し、1966年にデビュー・シングル『Follow Me』をリリースし、全米チャート65位となるスマッシュ・ヒットを記録しました。
しかし、2枚目のシングル、ボブ・ディランのカバー曲『行ってもいいぜ』は全くの不発に終わり、これを機にジヴォンはデュオを辞めてロサンゼルスに戻り、セッション・ミュージシャンや一曲契約のソングライターとして、映画音楽やCMジングルの作曲や演奏で生計を立てることをなります。
そして、元マザーズ・オブ・インヴェンションのメンバーであり、ジーン・ヴィンセントらのプロデューサーでもあった、カルト的人気を持つアーティストのキム・フォーリーがジヴォンの才能に関心を持ち、彼のプロデュースの下でファー※請確認是否動物毛皮。動物毛皮製品屬於華盛頓條約条約牴觸物品，無法國際運送。スト・ソロ・アルバム『ウォンテッド・デッド・オア・アライヴ』を1970年に発表するチャンスを掴みますが、これも全くの不発に終わり、ゼヴォンはソロ・アーティストとして細々とライヴ活動をしながら、相変わらずセッション・ミュージシャンと単発契約のソングライターとしての生活が続きました。
この頃彼は、エヴァリー・ブラザーズのツアー・バンドにピアニストとして参加し、1973年にエヴァリー・ブラザーズが険悪な形で解散したあとは、ソロ・アーティストとしてフィル・エヴァリーが活動するのをサポートし、彼の3枚のソロ・アルバムに楽曲提供も含めて貢献しますが、これらの活動は特に金銭的に報われるものではなく、ジヴォンは自分のキャリアに対する不満足な現実から逃避するように、1975年の夏に一時スペインに移住し、バルセロナ近郊のシッチェスにある小さな居酒屋『ダブリナー・バー（Dubliner Bar）』に住み込みで演奏するというボヘミアン的な生活をし、かつて傭兵だった店のオーナーのデヴィッド・リンデルと、のちにジヴォンのサード・アルバムに収録され、彼の代表曲のひとつとなる『Roland the Headless Thompson Gunner』を共作しました。
この曲に登場するローランドは架空の人物ではありますが、1960年代のナイジェリア内戦とコンゴ危機の余波に巻き込まれるノルウェー人であり、1960年代の傭兵主導によるキサンガニの叛乱で最強の砲手として名声を得るも、傭兵仲間に裏切られ、頭を吹き飛ばされて殺害されるという、店主リンデルの語るストーリーに基づくものであり、これがジヴォンの作風に大きな影響を与え、その後の一貫した創作活動の源となります。
傭兵、無法者、社会不適合者など、あらゆる種類の＂アウトロー＂が秘めている、勧善懲悪という基準では測れない、個人が持つ人間的魅力や、彼らを＂悪＂へと追い込んでしまう情況のシニシズムを、それがいかに不快なものであろうが多面的な文学性で、ときにはユーモア、楽観、絶望を含めて楽曲として描く、彼のソングライティングの才能は、ここではっきりと開花したのかもしれません。
そして1975年に再びロサンゼルスに戻った彼は、最良のパートナーシップを結ぶ友と出会うことになります。
その友の名は、ジャクソン・ブラウン。
ジャクソン・ブラウンは既にメジャー・スターダムにのし上がりつつあり、西海最も評価の高いシンガーソングライターであり、ジヴォンとブラウンのスタイルは大きく異なっていましたが、ブラウンはジヴォンの才能を大いに賞賛し、彼がアサイラム・レコードと契約を結ぶのを手助けしただけでなく、アルバムのレコーディングのために尽力します。
自らの名を冠したタイトルのセカンド・アルバムには、プロデューサーとしてジャクソン・ブラウン、ゲスト・ミュージシャンには、ゼヴォンの元ルームメイトで、その後フリートウッド・マックでスターダムにのし上がったリンジー・バッキンガムやスティーヴィー・ニックス、リンダ・ロンシュタット、ボニー・レイット、イーグルスのメンバーなどが参加しました。
このアルバムはチャート的には不振でしたが、当時既にスーパー・スターだったリンダ・ロンシュタットが『カルメリータ』『私はついてない』『風にさらわれた恋』『モハメッドのラジオ』の4曲を自身のアルバムでカバーし、ジヴォンのソングライターとしての評価は確固たるものになります。
そして1978年のサード・アルバム『エキサイタブル・ボーイ』は、シングル・カットされた『ロンドンのオオカミ男』が、そのコミカルな文学性からくる親しみやすさもあり全米21位のヒットとなり、アルバムも全米3位となる大成功を収めるのでした。
そして、1980年に通算4枚目のアルバムとして発表されたのが、今作『ダンシング・スクールの悲劇』です。
表ジャケットでは、バレエ・スクールの室内で逆光に照らされるダンサーたちに囲まれるジヴォンの姿、そして裏ジャケットには発砲後のマシンガンが放置してある写真を眺めるだけでも、彼にしか表現できない＂アウトロー＂の世界の匂いが漂ってきます。
楽曲のそれぞれは必ずしも特定のストーリーに沿ったものではないにしろ、個々の楽曲の独立性が逆に今作のコンセプトを実現しているような、野心と集中力の強さが感じられます。
『うつろなハート』は、リンダ・ロンシュタットのバック・ボーカルが胸を締め付けるストレートなラヴ・ソング、『プレイ・イット・オール・ナイト・ロング』は、飛行機事故で多くのメンバーを失い解散せざるを得なくなったレイナード・スキナードに捧げる挽歌、『ゴリラはデスペラド』は流行りの精神分析療法をおちょくるような軽妙なポップ、『ジャングル・ワーク』は、明日の命もわからない傭兵への讃歌のようなヘヴィでハードな楽曲、『ワイルド・エージ』は歳をとってもワイルドでいなければならない宿命にある人生を力強く歌うミディアム・テンポのバラード……今作では彼が自身を曝け出し欠点と向き合いながらも、自らの音楽性を信じていく意志も感じます。
このようなスタイルのシンガーソングライターは当時から希少であり、2003年に彼も逝去し、継承するアーティストも発見できませんが、ロックの歴史の片隅にでも確固として残る名作だと思います。
国内盤なので、ライナーノーツ・英詞・対訳は付属しています。
帯はありません。
レコードの保管については、専用ラックに立ててきましたが、経年により少しだけ反りがあります。鑑賞には問題ありません。
同じく経年により、白い紙の部分に色褪せやシミが少しだけあります。
それ以外は美品です。
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