内容は言わずもがな。
ラインナップは第五期(ここがミソ)。
Ian Gillan(Vo、Conga、Harmonica)、Ritchie Blackmore(G、G-Syn)、Roger Glover(B、Syn)、Jon Lord(Key)、Ian Paice(Ds)となります。
前作”Perfect Strangers”が好評、ツアーも大成功に終わった再結成Deep Purple。
但し、ツアー後期からRitchie BlackmoreとIan Gillanの確執が始まり、微妙な空気がバンド内に流れ始めていた事は事実でございます。
更には前作は成功は収めたものの、レコード会社側には不満。そもそも倍は売り上げを見込んでいた模様。
レコード会社としては「もっと売り上げを」との要望もあった模様。
「大人の通受け」音楽性だった前作の音楽性の継続に難色を示していた感がございます。
その微妙な雰囲気の中で制作が始まったのが、今作でございます。
バンド側はレコード会社の要望を汲み、
(そもそも再結成話がリアルなものとして動き出した事がIan GillanのBlack Sabbathでの実績が発端という事もあり)
Ian Gillan主導で「(音造りをも含め)ポピュラーな感覚を伴い、
嘗ての第二期の様なロック音楽未分化時代のHR的な音楽性を八十年代の洗練されたシンプルな感覚で甦らせる」
という音楽性を指向した感がございます。
前作に繋がる音楽性の”Bad Attitude”(Ritchie Blackmoreに対する皮肉でしょうか?”Smooth Dancer”の様に)がございますが、
今作では異色の出来。
脱退後のIan Gillanの隠れ名盤「Naked Thunder」、Gillan名義の「Toolbox」、
そしてRainbowの名盤「Bent Out Of Shape」に繋がる音楽性の感ではございますが、どれにも属さないところがミソ。
そもそもDeep Purpleの作品という事。
建前上Jon Lordがリーダーで合議制重視という事もあり、その上で構築された音楽性という事なのでしょう。
Ritchie Blackmore特有のスラブ民謡系クラシカル感のあるメロディアスさがございますが、
垢抜けたポピュラー感が強い幅広い音楽性の楽曲に加えられた感がございます。
(楽曲によってはへヴィさを抜いたポップなAccept的なものも........)
正直、Deep PurpleとしてもIan Gillan、Ritchie Blackmore他各メンバーそれぞれのキャリアとしても
非常に異色感のある幅広い音楽性の興味深い作風となっております。
但し、この音楽性・演奏の異色感のある作品制作がRitchie Blackmoreやメンバーにとっては非常な遣り甲斐と面白味に満ちていた感があり、
案外やる気に満ちていた感が演奏に感じられるものでございます。
但し、嘗てのRainbowの名曲”Spotlight Kid”が明らかな元ネタな楽曲が本作に登場。
以後の作品にも登場致しますが、何かねぇ...という感がございます.................................................
前作との音楽性の相違も激しい事もあり、セールスは不振。音楽性主導の責任を取らされる形でIan Gillanは解雇。
かのSurvivorの二代目名ヴォーカリスト故Jimi Jamison(ex-Tiger、Cobra)を迎えるものの、ビジネス問題であっけなく離脱。
Kal Swan(ex-Tytan、Lion、Bad Moon Rising)を試すも、安定度があれど声域の狭さがあり断念。
Deep Purple関連の安定した実績のJoe Lynn Turner(ex-Fandango、Rainbow、Rising Force)を迎える事となります。
この機会に是非。