16歳のぼくを置いて母は逝った。 母は宮沢賢治研究に生涯を捧げ、否定されている『銀河鉄道の夜』の第四次改稿版の存在を主張していた。 花巻を訪れたぼくは、気がつくと昭和8年にいた。 賢治がなくなる2日前だった。 たどり着いた賢治の家で、早逝したはずの妹トシとその娘「さそり」に出会うが…。 永遠に改稿される小説、闊歩する賢治作品の登場人物。 時間と物語の枠を超える傑作。