盤共に非常に状態の良い中古でございますが、パッケージに経年の劣化がございます。
内容は言わずもがな。
ラインナップは豪華名手陣揃い。
Steve Winwood(Vo、Key、G、B、Harmonica ex-Spencer Davis Group、Traffic、後にGinger Baker's Air Force、再結成Traffic)、
Eric Clapton(G、Vo ex-The Yardbirds、John Mayall & The Blues Breakers、Cream、後にDerek & The Dominos)、
Ginger Baker(Ds、Per、Vo ex-The Graham Bond Organization、Cream、後にGinger Baker's Air Force、Hawkwind、Master Of Reality他)、
故Rick Grech(B、Violin、Vo ex-Family、後にGinger Baker's Air Force、Traffic、KGB)となります。
非常に創造的で実り多きバンドだったバンド”Cream”ではあったものの、ブレインたるJack Bruceはジャズ系、Eric Claptonはブルーズ系と音楽性の相違があり、
ライヴではジャズ系特有の丁々発止の演奏・アンサンブルそして過酷なツアーの繰り返し。
そして更には執拗なメディアの批判にさらされ疲弊したバンドは解散を決意し、Jack Bruce、Ginger Baker、Eric Claptonはそれぞれ離脱。
Dave Masonとの確執・脱退と不安定化し遂にはトリオ化したTrafficを解散させたSteve Winwoodが、
(”Cream”結成前の)非常に短期間の活動であった”Powerhouse”時代の盟友Eric Claptonと合流。
”Cream”での実績を以てより演奏重視の活動を指向したGinger Bakerが合流(そもそも”Cream”はGinger BakerがEric Claptonを誘い、
Eric ClaptonがJack Bruce参加を希望した事で結成という経緯有り)、制作を開始。
長いセッション録音を経てジャズ的な演奏に対応可能な名ベーシストRick Grechを招き(引き抜き)バンド発足。
正式にアルバム制作開始、という経緯がございます。
”Cream”時代のライヴにおける(後にハード・フュージョン系にも繋がる)スリリングで即興性を強く加味した演奏からくる疲弊の反省に立った感のある音楽性の感がございます。
根本は”Jazz”から始まったとはいえ、似た時期に制作されたかのJack Bruce実質初ソロ作”Things We Like”の”Free Jazz”的なものではないもので、
構築性のあるものを目指した模様。
似た時期に登場し後に関わる事となる”The Allman Brother Band”や”後期Traffic”に繋がる音楽性でございますが、洗練され非常に穏やかな音楽性でございます。
但し、Eric Claptonは元々ブルーズ系。ジャズ的な要素を理解しているにせよ、
(「The Bandのメンバーになりたかった」との後々の発言も伺えますが)古典ブルーズやアメリカのルーツ音楽に傾倒しつつある時期の制作でございます。
演奏や楽曲が長尺曲するにせよルーツ音楽系ブルーズの延長線上のものでありたかった模様。
制作中に意欲と興味が低下していった感がございます.........................................
楽曲によってはSteve Winwoodの持つ”ブリティッシュ・トラッド性”を以て「イギリス版The Band」の音楽性を狙った感のあるものがあり、
後のアメリカ移行の音楽性に繋がっていく感がございます。
Ginger Bakerにとっては(演奏面含め)不満であったアルバム制作の模様。
解散後にWinwood/Grechを誘い、ビッグバンド系アフリカン・ジャズロックの名バンド”Ginger Baker's Air Force”を結成。
かのLed Zeppelinの名ドラマー”John Bonham”に「最高の演奏」と言わしめた大傑作を制作。
留飲を下げた感がございます....................................................
反面Steve Winwoodは(Ginger Bakerを加えた事もあるのでしょうか?)演奏の長尺化等による音楽性の拡大という”Cream”的な要素を狙い、
初期Trafficでの音楽的成果に加えた感がございます。
ここでの成果を基にこの後Rick Grechと共に”Ginger Baker's Air Force”に参加。
更にはそこでの成果をも加えTraffic再結成に至る事となります。
”ブリティッシュ・トラッド性”を持ち出した中期傑作~後期Traffic特有の(The Allman Brother Band周辺と共に高く評価される)現在のジャム・バンド系の音楽性に繋がる大傑作を産み出していく事となります。
今作は大きなセールスやチャートアクションがございますが、あっけなく解散。
正直(とりわけアルバム正式制作中に)それぞれ見ていた音楽性の将来は異なるものだった感がございます...........................................
正に”通過点””才能の交差点”的な名作の感がございます...............................
ボーナストラック及び未発表セッション音源は非常に興味深いものとなっております。
CD1:企画独自リマスター化アルバム本編に収録楽曲の別ヴァージョン、未発表楽曲を含むもの。
”Can't Find My Way Home”の秀悦なElectric Versionが目を引きますが、未発表インスト楽曲”Time Winds”等興味深い出来となっております。
また手掛けたエンジニアが本編と異なる事も興味深いものとなっております。
CD2:Rick Grech参加前のスタジオ・セッション音源からの抜粋。
エンジニアはかのAndy Jones(Free、Led Zeppelin等で御馴染み名エンジニア。八十年代はHR/HM系でプロデューサーとして名を馳せる)。
デモ録音ではない事やノイズ処理等の処理が成されている事で高音質でございますが、録音としてはあくまで音楽性確立の為の参考資料という感でございます。
Winwood/Clapton/BakerのトリオにGuy Warner(Per)を迎え、Steve WinwoodがBassを兼任したものでございます。
全編インスト長尺曲でございますが、アルバムと異なり(演奏含め)非常に意欲的でロック的な躍動感に溢れるもの。
案外完成されたものである事が非常に驚かせるものでございます。
”Cream”のライヴでの感覚~The Allman Brother Band全盛期に繋がる感のある音楽性でございます。
当時アメリカではかの”Santana”が登場。「Milesの造るジャズがジャズの未来となる」と言われたかのジャズの巨匠”Miles Davis”が非常に注目する程でございます。
この感覚で制作していれば..........との感がございます。
(第二の”Cream”や”Traffic”にしたくなかった、という事なのでしょうが....................................惜しい感がございます............................)
正直、この感覚を何故スタジオ録音で生かせなかったのか?という感がございますが、
アルバム制作時におけるEric Claptonのバンド音楽性に対する急激な興味の欠如という事なのでしょうか.........................................
現在では入手が困難。この機会に是非。
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